自己理解と他者理解とは?ズレを知ると働きやすくなる心理学のヒント
「自分ではちゃんとやっているつもりなのに、なぜか相手とうまくいかない」
「自分には長所なんてないと思っていたけれど、周りから意外なことを褒められた」
こんな経験はありませんか?
私たちは、自分自身のことをすべて客観的に見られているわけではありません。
自分が思っている自分と、周囲から見えている自分には、少し違いがあることがあります。
この違いを知るうえで大切なのが、「自己理解」と「他者理解」です。
就職活動ではもちろん、実際に職場で長く働いていくためにも、自分の特徴を理解し、周囲からどのように見えているのかを知ることは大切です。
今回は、自己理解と他者理解について、心理学の「ジョハリの窓」も交えながらわかりやすくご紹介します。
1.自己理解とは?
自己理解とは、自分の性格や特徴、得意・不得意、価値観、考え方や行動の傾向などを知ることです。
たとえば、
- 人と話すことが好き
- 一人で集中する作業が得意
- 急な予定変更が苦手
- 丁寧に確認してから行動する
- 困っていても人に相談するまで時間がかかる
といったことも、自己理解の一つです。
就職活動では「自分の強み・弱みを知ること」と考えられがちですが、それだけではありません。
「どんな環境なら力を発揮しやすいか」「どんなときに疲れやすいか」「どんなサポートがあると働きやすいか」まで知ることが、働くうえでは大切です。
2.他者理解とは?
ここでいう他者理解とは、単に「相手の性格を理解する」という意味だけではありません。
この記事では特に、「自分の言動が、周囲からどのように見えたり受け取られたりしているのかを知ること」という意味で考えてみましょう。
たとえば、
自分では、「できるだけ詳しく説明しよう」と思って話していても、相手からすると、
「少し話が長くて、要点が分かりにくい」と感じているかもしれません。
反対に、
「自分は仕事が遅い」と思っていても、職場では、
「確認が丁寧でミスが少ない」と評価されていることもあります。
自分から見た自分だけでは分からないことを、周囲からのフィードバックによって知ることも、自分を理解する大切な方法です。
3.「自分が思う自分」と「周囲から見える自分」は違うことがある
自己理解と周囲からの評価に違いがあること自体は、珍しいことではありません。
実際、仕事における自己評価と上司による評価を調べた研究でも、両者が完全には一致しないことが示されています。仕事のパフォーマンスについて本人と上司の評価には一定の関連があるものの、完全な一致はしないという研究結果もあります。
つまり、「自分のことは自分が一番よく分かっている」とは限らないということです。
たとえば、
自分では「明るく積極的に話している」と思っている
一方で
周囲からは、「少し話す勢いが強い」と感じられているかもしれません。
自分では「慎重すぎて仕事が遅い」と思っている
一方で職場からは、
「確認が丁寧で安心して任せられる」と評価されているかもしれません。
どちらが正しい、間違っているということではありません。
大切なのは、
「自分はこう思っている。でも、相手からはこう見えることもある」
と、両方の視点を持つことです。

4.自己理解を深める「ジョハリの窓」とは?
自己理解について考えるときによく使われるのが、「ジョハリの窓」という考え方です。
ジョハリの窓では、「自分が知っているか」「他者が知っているか」という2つの視点から、自分自身を4つに分けて考えます。
| 領域 | 意味 |
|---|---|
| 開放の窓 | 自分も周囲も知っている自分 |
| 盲点の窓 | 周囲は気づいているが、自分では気づいていない自分 |
| 秘密の窓 | 自分は知っているが、周囲には見せていない自分 |
| 未知の窓 | 自分にも周囲にもまだ分かっていない自分 |
たとえば、
「説明が丁寧ですね」と何人かから言われて、
「自分では普通だと思っていたけれど、これは自分の強みなのかもしれない」と気づいたとします。
これは、「盲点の窓」にあった自分の特徴に気づいたと考えることができます。
反対に、自分では苦手だと思っていたことについて、
「実際にやってみたら意外とできた」という経験もあるでしょう。
自己理解は、一人で考えて完成させるものではありません。
人との関わりや新しい経験を通して、少しずつ深まっていくものでもあります。
5.自己理解と他者理解は、なぜ仕事で大切なの?
働くうえで自己理解ができていると、自分に合う仕事や働き方を考えやすくなります。
たとえば、
「人が多い場所では集中しづらい」と分かっていれば、
仕事を探すときに職場環境を確認できます。
「分からないことがあっても、すぐには質問できない」と分かっていれば、
「分からないときは10分考えたら相談する」
など、自分なりのルールを決めることもできます。
さらに周囲からの見え方も知ることで、
自分では気づいていなかった強みや、工夫した方がよい行動に気づくことができます。
仕事における「適合」については、自分と仕事、自分と組織などがどの程度合っているかと、仕事への満足感や離職意向などとの関連について多くの研究が行われています。
ある分析では、仕事の満足度や組織への貢献度、離職意向などと関連するという報告もあります。
ただし、これは単純に、
「自己評価と他者評価が一致すれば離職しない」という意味ではありません。
大切なのは、自分の特徴を理解したうえで、自分に合う環境や働き方を考えたり、必要な調整をしたりできることです。
6.自己理解を深めるにはどうしたらいい?
自己理解というと、「自分でじっくり考えること」だと思う方も多いかもしれません。
もちろん、それも大切です。
ただ、それだけでは分からない自分もあります。
① 自分の経験を振り返る
「何が得意だったか」だけでなく、
- どんなときにうまくいった?
- どんな環境だと疲れた?
- 何をしているときは集中できた?
- 困ったとき、どんな行動を取りやすい?
など、具体的な経験から考えてみます。
② 周囲の人に聞いてみる
家族、友人、先生、支援員などから、
「自分の良いところって何だと思う?」
「どんな仕事が向いていそう?」
などと聞いてみるのも一つの方法です。
自分では当たり前だと思っていることが、周囲から見ると強みになっていることがあります。
③ 実際に経験してみる
仕事については、考えているだけでは分からないことも多くあります。
職場見学や職場実習などを経験すると、
「思っていたよりできた」
「仕事内容は好きだけど、この環境だと疲れやすい」
など、新しい発見が出てきます。
自己理解は、考えること+他者の意見+実際の経験を重ねていくことで深まっていきます。
7.スマイルステップで行っている自己理解の支援
横浜市戸塚区の就労移行支援事業所スマイルステップでも、就職に向けて自己理解を深めることを大切にしています。
たとえば、
個別面談
支援員と一緒に、これまでの経験や得意・不得意、働き方の希望などを整理します。
グループワーク
他の人と意見を交換することで、
「自分とは違う考え方もあるんだ」「自分にはこんな特徴があるんだ」
と気づく機会をつくります。
職場実習と振り返り
実際の職場で仕事を経験したあと、
本人が感じたことと、企業からの評価の両方を確認します。
「自分ではできなかったと思っていたけれど、企業からは評価されていた」
ということもあれば、
「自分では問題ないと思っていた部分に、少し工夫が必要だった」
と分かることもあります。
こうした経験を重ねながら、
「自分はどんな人なのか」「どんな働き方なら力を発揮しやすいのか」
を一緒に整理していきます。

まとめ|自己理解は「自分だけ」で完成させなくていい
自己理解と他者理解が、完全に一致している必要はありません。
むしろ、人によって見え方や受け取り方が違うのは自然なことです。
大切なのは、
「自分ではこう思っている」という視点だけでなく、
「周囲からはこう見えていることもある」という視点を持つことです。
そこから、「これは自分の強みかもしれない」「ここは少し工夫した方が働きやすそう」「こういう環境なら自分の力を発揮できそう」と、自分に合う働き方を少しずつ見つけていくことができます。
スマイルステップでは、面談やグループワーク、職場実習などを通して、一人では気づきにくい自分の特徴を一緒に整理する支援を行っています。
「自分に向いている仕事が分からない」「自分の得意なことが分からない」「働きたいけれど、自信がない」という方も、最初から答えを持っている必要はありません。
就職に向けて、一緒に「自分を知る」ところから始めてみませんか?

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